教員のための情報教育FAQ

登録番号:C02-026  B4:情報活用(プレゼン)力の育成

Q. ポスターセッションで使うポスターを作成する活動について、詳しく教えてください。

A. 壁に貼っておくだけのポスターとは違って、いろいろな工夫が出てくるように指導していきましょう。


情報担当教諭:
 ポスターセッションで掲示する大きな資料を、ここではポスターということにします。
A子先生:
 普通のポスターとは違うのですか!
情報担当教諭:
 普通のポスターは書かれた情報だけで内容が的確に伝わるように、5W1Hを意識させながら指導をしますよね。
A子先生:
 はい
情報担当教諭:
 ポスターセッションで使うポスターの場合は、それを使って発表者が説明をしたり、質問を受けたりすることができます。
A子先生:
 ということは、伝えたい情報を全て載せるというわけではないのですね。
 どのようにまとめさせればいいのでしょうか?
情報担当教諭:
 自分は何を伝えたいのか、相手はどのような知識を持っているか、などを考えることが大切ですよ。
A子先生:
 例えば、参観日にお家の方相手に、地域の商店街を紹介するポスターセッションをしようと思っているのですが…

事例で考えてみましょう


情報担当教諭:
 相手は商店街にある程度は知識をもっている少人数と言えますね。双方向で質疑や対話ができそうです。
 お家の人は知らないような、自分達だけが知っていること、伝えたいことをまとめると、印象的な活動になると思いますね。
A子先生:
 私が考えていた「目的」は、自分が見つけた「商店街のお店で気付いたこと」をお家の人に発表して、まとめたり発表したりする力を付けることです。
情報担当教諭:
 なるほど…。それは、教師の側の目的ですね。子どもにとっての目的は何でしょうか?
 「ポスターを見た人が、そのあとどうなってほしいか」を子どもに意識させると、やる気も倍増になると思いますよ。
A子先生:
 あまり考えたことありませんでした。お家の人に発表して、まとめたり発表したりする力を付けるというのは教師側の「目的」ということですね…。
 こういうのはどうですか?「おすすめのお店紹介をして、お家の方に行ってもらう」ことを目指す。
情報担当教諭:
 いいですね。「おすすめのお店紹介をして、お家の方に行ってもらう」ことを目的に、自分がおすすめするお店のよさを伝えようとすると、結果的に「商店街のお店で気付いたこと」をまとめたり発表したりする力がつきますね。
A子先生:
 発表の為の発表ではなく、子どもたちも自然に力が入りそうですね。

指導のポイントは


情報担当教諭:
 まずは、足を止めて興味をもってもらう事が大事になるので、パッと見た人が「?」や「!」と感じるような見出し(キャッチコピー)や写真があるといいですね。それらが目を引く大きさや色、配置として割り付けられているものがよいでしょう。そういうことを、子どもたちが自然に考えられるよう、指導していってください。
A子先生:
 見出し、割り付けなどは、国語の新聞づくりで行う指導内容ですよね。
情報担当教諭:
 そうですね。貼っておいて見てもらうポスターと違って、言葉での説明を加えられるのがポスターセッションのよさと言えます。本文の内容を要約した見出しだけでなく、わざと最後まで書かずに「え?どういうこと?」とか「え、そんな商品があるのか!」など、「?」や「!」が見た人に浮かぶようなキャッチーな見出し、写真を考えられるといいですよね。
A子先生:
 国語の学習と、とても関連していますね。見出しは本文を要約したものだと決めつけることはないということですね。
情報担当教諭:
 もちろん、本文を要約するのも大切な情報活用能力です。しかし子どもが「相手」と「目的」に合わせて、効果的なことを柔軟に組み合わせる事も大切です。あとは、ポスターセッションならではということで、付箋紙などで写真や本文の一部を隠しておき、「さぁ、一体、僕はどんな商品を見つけたと思いますか?」と、対話形式でめくりながら発表するといった形式もおもしろいですね。
A子先生:
 なるほど〜。早速子どもたちに伝えたいと思います。
情報担当教諭:
 教師が「こういう方法もあるよ」と紹介するのももちろんいいですが、子どもが「相手」と「目的」を意識して試行錯誤しながら作ったりリハーサルしたりするうち、さまざまな工夫が生まれてくると思います。割り付けや発表方法などを工夫した子どもを紹介することで、他の子も「もっと自分で工夫できることはないかな?」という気持ちになってくれたら、最高ですね。
A子先生:
 そうか…。子どもの工夫や気付きを待つことで、工夫や気付きがより促されるということもありそうですね。
情報担当教諭:
 もちろん、指導内容をしっかり定着させる為に基本的な事項を押さえることは必須です。国語と関連させるならなおさらですね。ですが、始めから教える形もあれば、子どもの気付きや工夫を促して紹介して結果として定着させていく形もあります。後者の方が子どもが意欲的に様々なことを挑戦していきますよね。
A子先生:
 すごく子どもに力がついて、意欲的に活動できそうな気がしてきました。でも、時間がかかりそうですね。
情報担当教諭:
 そうですね。時間や子どもの経験を見ながら、活動をデザインすることが大切です。また、計画的にカリキュラムマネジメントをして試行錯誤や相互評価できる時間を確保する事も大切ですね。子どもの目線で考えた時、誰にどうなって欲しいのか、それは子どもにとって自然な思いや願いになっているのかを意識してみて下さいね。

理解度CHECK!

ポスターセッションで掲示するポスターについて、正しいと思うものにチェックしましょう。
 


ニュースの新鮮性、5W1Hが抜けていないかを考えさせ評価させる活動が求められる。
発表する活動を加えることで、プレゼンテーション能力の向上につながる。
ポスターセッションで掲示するポスターと普通のポスター作りの学習の狙いや評価の観点は同じである。

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