博物館をつくろう

概要
ねらい
情報活用のねらい
Step1:博物館を見学しよう
Step2:歴史を伝えるものを探そう
Step3:博物館をつくろう
実践にあたっての留意点

教師用ガイドブック
子ども用ワークシート
教師用ワークシートガイド
情報教育目標リスト(2011年版)
 ◆A41-3-110:考えたことや自分の意図が相手に伝わりやすいよう話を組立てる〔思考〕
 ◆A41-3-000:自分の考えを様々な方法をつかって表現・発信する〔〕
 ◆A21-3-050:他の情報と比較しながら、必要な情報を集めることができる〔行動〕
 ◆C22-2-020:情報の提供に対し、感謝と助け合いの気持ちを持つ〔行動〕
 ◆A21-3-040:目的や視点を明確にして、情報を集めることができる〔行動〕
 ◆A51c2-020:絵や図にまとめて発表する〔行動〕
 ◆A21-2-090:情報機器を利用して、写真に記録する〔体験〕


<実践的に期待される成果をはっきり示す> 子供たちの身近なところには,地域や学校の歴史を伝える古くからあるものが残っている。自分たちの手で博物館をつくる目的で,それらを取材したり,撮影したり,収集したりする調査活動を行い,その成果 をもとに展示活動を行うことによって,自分たちなりに調査成果を伝える文章を工夫したり,展示方法を工夫したりして展示会を開催する。これらの活動を通 して,資料を様々な角度から観察したり,比較したり,自分が見てもらいたいことを分かりやすく見せる方法に気づき,伝える相手のことを考えた表現方法を学ぶ内容である。
自分たちの学校や学区の中に残る歴史を伝えるものを,ワークシートを利用して調べ,自分たちなりの視点で整理し仲間わけをすることができる。
自分たちが見てもらいたいことが来場者に分かるように,実物資料の展示方法や写 真の展示,解説文などを工夫した博物館をつくることができる。

博物館をつくるために必要と思う情報を積極的に集めることができる。
自分が見てもらいたいと思うことを,分かりやすく見せることを意識して,調査対象を撮影したり,聞き取り調査をしたり,比較する資料をインターネットで集めたりすることができる。
収集した情報を,伝える目的を考え,相手が探しやすいように整理して展示したり,相手に伝わる表現を工夫したりすることができる。
地域のお年寄りや施設の専門家との交流の際には,相手の都合を考えたり,言葉遣いに気をつけたりすることができる。

ワークシートの視点にそって,博物館を見学する。

自分たちが博物館をつくるときに,工夫することや気をつけることは何かを,ワークシートをもとに見学する。
展示室を見学するためにおいてあるパンフレットを集める。
展示コーナーがいくつあるかを数えたり,その順番を調べたりする。
展示資料のまわりにはどんなものが置いてあるのかを探し,記録する。


見学前には,見学する施設に事前連絡を取っておく。
見学前にワークシート1を配布し,見学の視点が博物館がどんなことに工夫して展示しているかを見つけることにあることを明確にする。


この博物館の見学は,この単元の活動を左右する活動になるので,時間を十分に取り,自分たちで博物館を作る参考になることを,探すことに特に目を向けさせて見学させたい。また,見学時には,自主的な活動を促すためにも,子供たちを引率して説明することはせず,ワークシートの書き込みができているかを中心に確認する。

調査カードに自分の見つけた歴史を伝えるものを記録する。(2時間)

古い校舎の写 真や,通学路にあるお地蔵さんなど,身近にあるものの中から,自分が歴史を伝える古くからあるものだと感じたものを,デジタルカメラで記録したり,調査カードにメモを取ったりする。
なぜ,歴史を伝えるものだと分かったか確かめながら,その証拠を調査カードに記録する。
町のお年寄りや,博物館の学芸員などの専門家に聞き取り調査をする。


校舎内にある古い写 真の解説文等は,子供が読めるものか事前にチェックし,読めないものは解説文を付け替える。
聞き取り調査に行く子供がいた場合には,子供が訪れる前に連絡を入れ,了承を得ておく。

記録した調査カードを仲間わけする。(1時間)

調査カードをもとに,仲間わけワークシートを使い,時代別やテーマ別などの視点で,整理し仲間わけをする。


仲間わけのワークシートは,時代別 のものとテーマ別のものの中から子供たちに選択させ使用する。
子供の調査カードを黒板に仲間ごとに添付するなどして子供たちが互いに確かめながら仲間わけができるようにする。

子供の視点で見つけることに主眼を置き,ここにあるよ的な誘導は行わず,子供が自分の力で見つけたものを取り上げ,自分が見つけてきたものを自分たちの博物館に展示したいという意欲が湧くように配慮する。

博物館の設計図をつくろう。(1時間)

自分たちがつくる博物館の展示の設計図をワークシートに作る。
自分たちが見てもらいたいものを中心に設計図を作成し,そうでないものや確かなことが言えない物は,今回は展示しないことを決める。
友達の設計プランと比較し,自分たちが見てもらいたい博物館はなんであるのかを考えみんなでつくる博物館の設計図を決める。


石造物等の動かせないものやお祭りの様子など学校に持ってこれないものを展示したいときには,デジタルカメラの画像やビデオなどを利用して展示することができることを知らせる。
子供たちが設計図を書くときに参考になるように,見学した博物館のパンフレットなどを提示する。

博物館をオープンさせよう。(2時間+課外)

設計図をもとに自分たちなりに工夫して,地域の方や他の学年に自分たちが見せたかった内容が,わかるように見やすく展示する。
受付,展示解説等の役割分担を決め,来場者には,アンケートやインタビューを行う。


役割分担は,交代制をとるなどして,子供たちが様々な角度から自分たちの展示を振り返ることができるようにする。

自分たちの博物館に点数をつけよう(1時間)

自分たちで作った博物館を見学した際の自己採点表と,アンケートやインタビューの様子を比較し,自分たちが伝えたかったことがどのくらい伝わったかを話し合う。
自分たちが伝えたかったことがうまく伝わった点,伝わらなかった点を整理し,伝えるための工夫に気づく。


アンケート結果 は事前にグラフ化するなどして,教室内に掲示し,自己評価の点数と比較できるようにしておく。
自分たちの伝えたかったことがうまく伝わったところがどこか,なぜ,うまく伝わったのかを明確にする。

このStepの活動では,設計図を書き,展示作業を行い,反省会を行う。実際の展示活動は,放課後や昼休みなどを利用して行う。展示する際には,見学した博物館に用意してあったものを思い出し,単に展示するだけではなく,パンフレットやビデオ,写 真など様々な方法で表現できるようにそれらの様子を写した写真を用意したり,展示する際に必要な材料を教室に用意し,子供たちが自由にその中から選択できるようにしておく。また,今回,証拠がはっきりせず,取り上げなかったものについては,同じようなものが他の場所にあるかとか,証拠の見つけ方を専門家に聞いて調べて見ようなどの配慮を忘れず,子供の意欲をそがないようにする。

この活動を通 して,教師主導で調査活動をしたり,展示活動をしたりすることの無いように留意し,活動していく中で,情報の収集の方法や,必要な情報かどうかを判断したり,効果 的な展示方法を工夫したりできるようにしたい。

ワークシートの配布や取材に持っていくものは事前に用意し,調査時間が十分に確保できるようにする。

校外での調査活動の際には,保護者や学習ボランティアを活用し,安全に活動できるようにする。