みんなが暮らしやすい工夫を探そう!
概要
ねらい
情報活用のねらい
Step1:「バリアフリー」ってなんだろう
Step2:身近にある「バリアフリー」をみつけよう
Step3:「バリアフリー」について調べたことを発表しよう
実践にあたっての留意点
教師用ガイドブック
子ども用ワークシート
教師用ワークシートガイド
学習進行表
構想グラフ/活動イメージ
情報教育目標リスト(2011年版)
 ◆A51a3-030:見通しを持って、調べる計画を立て、手順を整理する〔行動〕
 ◆A51a3-030:見通しを持って、調べる計画を立て、手順を整理する〔行動〕
 ◆A21-3-050:他の情報と比較しながら、必要な情報を集めることができる〔行動〕
 ◆A21-3-040:目的や視点を明確にして、情報を集めることができる〔行動〕
 ◆A41-3-110:考えたことや自分の意図が相手に伝わりやすいよう話を組立てる〔思考〕
 ◆A41-3-100:わかりやすく伝えるメディアを選んで、自分の考えを表現する〔行動〕
 ◆A21-3-020:情報機器を利用して、画像や動画を記録する〔技能〕
 ◆C22-3-060:ユニバーサルデザインの考え方を知る〔認識〕


みんなが暮らしやすい社会にするための工夫とは、どんなものがあるのだろうか。点字ブロックやスロープなどの「からだの不自由な人」にとって暮らしやすい社会にするための工夫について、子どもたちはどのように意識しているのだろうか。自分にとって、あまり関わりのないものとして、捉えているのではないだろうか。地域にある施設や道路、身近な商品に、みんなが暮らしやすくするための工夫をしているところが、たくさんあることを調べていくことを通 して、改めて見つめ直していけるようにしていきたい。世の中には、健康で自由に活動できる人ばかりではないことに気づくこと。健康で自由に活動できる人にとって暮らしやすい社会が、「からだの不自由な人」にとって暮らしにくい社会であるということは、矛盾しているということに気づくこと。「からだの不自由な人」が生活していくことを妨げるもの(バリア)をなくしていく(バリアフリー)ためには、どうしたらいいかを考えていくこと。そして、子どもたちが調べて、まとめ、発表していくことを通 して「みんなが暮らしやすい社会にする」ということを改めて考えていくことを大切にして取り組ませたい。
「からだの不自由な人」にとって暮らしやすい社会にするための工夫について、調べ、まとめ、発表していくことを通 して「バリアフリー」について考える。
計画を立てて調べ、調べた内容を整理しまとめ、聞き手にわかりやすく発表することができる。

課題解決のために適切な方法で情報を集めることができる。
集めた情報を分析をして適切な方法でまとめることができる。
相手を意識し、伝えたいことを明確にして伝えることができる。

「点字ブロック」「スロープ」「シャンプーのボトル」などの画像や実物を見て、何のためにあるか話し合い「バリアフリー」ってどういうことなのかを考える。(1時間)

どこにあったのか、何のためにあるのかなどを出し合う。
そのほかに知っているものを出し合う。
「バリア」「バリアフリー」の意味について考える。
「バリアフリー」について知っていることや疑問に思うことをワークシートに書く。

「バリアフリー」の意味やどんなものがあるかを調べる。 (1時間)

学校図書館、地域の図書館、ホームページなどで情報を集める。
グループで調べてわかったことについてワークシートにまとめ発表する。


ここでは具体的に「どんなものがあるか?」について各グループで調べ、ワークシートに記入していくという課題設定で取り組んでいく。

身近にある「バリアフリー」をみつけるための具体的な計画を立てる。 (1時間)

同じ課題(「どこを」「何を」調べたいか)で調べるグループを作る。
グループで学習計画を立てる。(調べ方、まとめ方、役割分担、発表の仕方など)


ここでは「バリアフリー」について「どこにあるのか」や「どんなものなのか」について実物を調べていく活動である。道路にあるものを調べていくのであれば、地域ごとに分担していくことが考えられる。施設の中にあるものを調べていくのであれば、駅や公共施設(福祉センター、市役所、地域の体育館、公民館、図書館)スーパーマーケット、レストランなどに分かれて調べていくことが考えられる。商品を調べていくのであれば、マークや役割、開発についての思いや経過、実際の商品を使った感想などについても調べていくことが考えられる。

道路であれば、地図上に画像と説明を配置してまとめていくことが考えられる。施設や商品であれば、画像と説明をカードにしてデータベースのようにまとめていくことが考えられる。

身近にある「バリアフリー」を探す。 (2時間)

デジタルカメラやワークシートを持って出かけ、見つけたものを撮影する。
必要であればインタビューするなどして、わかったことや気づいたこと、不思議に思ったことをワークシートに書く。


デジタルカメラを使った撮影では、周りの様子も含めて何カットかを組み合わせて使うことを考えて撮影するなど、説明するときに聞いている人がわかりやすいということを考える工夫が必要である。また、調べている過程で「点字ブロック」の上に放置自転車があるという場面 に遭遇するかもしれない。そのような場面は、「バリアフリー」を考える上で、現実味をもった話題提供となる。

「バリアフリー」について調べたことをわかりやすくまとめる。 (2時間)

調べた内容をわかりやすく人に伝えるために、どの事実や資料、写 真などを使うか決める。
くわしく調べたいことや疑問に思ったことをさらにくわしく調べる。
どんなレイアウトにすればわかりやすいか考える。
コンピュータで作るのか、直筆にするのかなど表す方法を決める。
分かった事実からどんなことを考えたかも書き加える。


ここでは、調べて得た情報を再構成することによって、相手を意識してわかりやすく伝えることが大切である。また、作業を通 して「バリアフリー」についてさらに深く、そして、身近なものとして捉え直していくことが、子どもたちの自然な発想の流れで感じ取れるような活動にしたい。

各グループの作業の進行状況がわかるように、掲示スペースを設けることで、各グループが別 々に作業するだけではなく、グループ間の意見交換を促すようにしたい。

グループ発表をする。 (1時間)

発表会形式で各グループの発表を行い、成果 を共有し深める。

「心のバリアフリー」について話し合う。 (1時間)

一連の学習をふりかえてまとめをする。


これまでの学習を通 して、「バリアフリー」について感じたことや考えたこと、さらに「心のバリアフリー」つまり、「本当のバリアフリーは、まず人々の心の中から始まる」ということについて考えていきたい。

学級や地域の実態に応じて、今後、子どもたちの実際の活動(ボランティアなど)につなげていくようにすることも考えられる。

【ステップ1】では、資料やコンピュータの台数によって、個人、グループ、一斉のどの授業形態でも可能です。

【ステップ1】の「バリアフリー」について調べるときに、時間や車いすなどの準備ができれば、車いすやアイマスクの体験を取り入れて実施することも可能です。

【ステップ2】では、学級や地域の実態に応じて、グループの数や構成を考えて子どもたちの学習の支援をしてください。

【ステップ3】では、「バリアフリー」については、施設設備を充実させていくことが、障害者のための特別 なものを作っているという意識から、みんなが暮らしやすくするために当然のものを作っていくという意識に変わっていくこと、さらに、みんなが本当に暮らしやすくしていくためには施設設備の充実だけでは十分ではなく、人の意識や助け合いによって補っていくものであると捉えていくことを大切に話し合い活動を取り組んでください。

【ステップ3】での話し合いを学級や地域の実態に応じて、今後、子どもたちの実際の活動(ボランティアなど)につながっていくようにすることも考えられます。

ここでは、子どもたちが「バリアフリー」についてあまり意識していなかった段階から、調べることを通 して自然に理解を深め、さらに、不十分な点について子どもたち自身が気づいていくという流れを大切に学習のステップを組み立ててみました。しかし、逆に「バリアフリー」について不十分なところを確かめるために地域に出ていくというような学習のステップで組み立てることも考えられます。