(高校生・教員向け教材)
「定点」でフェーン現象をみるときは以下の条件のもとでみてみましょう.
1. 風上側は比較的高温多湿であること.
2. 風下側との間に高い山脈が存在すること.
 今回は,台風が日本を縦断して日本海にあるとき,太平洋側と日本海側の観測点をそれぞれ一つ抽出し,以下のように観察してみましょう.
1)フェーン現象が発現している日時と場所(台風が日本海にいる日時がベスト)は以下の通りです.
1. 風上側 日時 平成16年6月21日  場所 静岡大学浜松キャンパス
2. 風下側 同日             場所 富山大学
2) 当日の日報(現在の様子→静岡(日報),富山(日報))
1. 取得データ1(風上側) teiten2000 2004.06.21 静岡大学浜松キャンパス
 日報 20時 気温 24.3度 露点温度22.8度 湿度91% 標高 62m 

2. 取得データ2(風下側) teiten2000 2004.06.21 富山大学
  日報 20時 気温 29.4度 湿度63% 標高 29m
3) ひまわり画像を提示(富山大学→日報→GMS)と順次選択して表示
4)風向とひまわり画像の雲の動きが一致していることを生徒に確認させる

(問い)台風の周辺における風向の確認とひまわり画像における該当地域の風向の確認はできますか?
4) 風上側と風下側の風向が一致しているかを確認させる作業
(問い)風上側と風下側の風向は一致していますか?  
(答え)南風が卓越していますね.
5) 風上側の気塊が高湿度であることを確認させる作業
(問い)風上側は湿度が高いですか?
(答え)風上側は太平洋の暖かく湿った空気塊が入りこんでいますね.
6) 風下側の気温が風上側と比較して異常上昇し,湿度は低下することを確認する.
(問い)風下側の気温(20時)は風上側の同じ時間と比較してどのくらい上昇しましたか?また同じ風上側でも3時間前の気温と比較してどのような変化を示しましたか.
(答え)20時の風上側の気温は24.3℃,湿度91%,そのときの風下側の気温は29.3℃,湿度64%でした.すなわち風下側は気温が上昇し,湿度が低下したことになります.また風下側では18時の気温24.8℃と比較しても上昇していることがわかります.
7) 風上側の気温,露点温度,山脈の標高から風下側の気温を算出させる作業.
以下に計算例を示しますので,風下の気温を計算してみましょう.
計算例
取得データ1(風上側) teiten2000 2004.06.21 静岡大学浜松キャンパス 日報 20時 
気温 24.3度 露点温度22.8度 湿度91% 標高 62m 

取得データ2(風下側) teiten2000 2004.06.21 富山大学        日報 20時
気温 29.4度 湿度63% 標高 29m

仮定する次項 気塊が越える山脈の高度1500m
1) 気温が露点に達する高度の計算(露点高度h0)
t1=24.3℃ t2=29.4℃ t0=22.8℃,h1=62mより
 h0=h1+(t1−t0)×100 / 1 (乾燥断熱減率 100m上昇につき1℃気温低下)
  =62+(24.3−22.8)×100=212m

2) 露点高度から仮定した山頂高度(hm=1500m)に達するまでの気温低下
tm=t0−(hm−h0)/ 100×0.5 (湿潤断熱減率 100m上昇につき0.5℃気温低下)
 =22.8−(1500−212)/ 100 × 0.5 =16.36℃

3) 風下観測点h2=29mの気温
t2=tm+(hm−h2)× 100 / 1 
t2=16.36+(1500−29)× 100 / 1=31.07℃